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アライア回顧展:美と永遠を追求したクチュリエ 【Nahoのおパリ文化回覧帳 vol. 1】

昨年の11月に急逝したAzzedine Alaïa(アズディン・アライア)の回顧展 “Je suis couturier ” へ行ってきました。アライアの作品には、さながら映画のようなドラマ性があり、観る人の胸を打つ力があります。

パリでは、毎日のように多くのエキシビションが開催されています。


今現在、公式に発表されているものだけでも232展。比べて東京全域で157展。

パリは東京23区と同じくらいの大きさなので、そう比べただけでも、いかに多いかが分かるかと思います。

 

ジャンルも、アート、ファッション、写真、彫刻、建築…etcと多岐に渡り、

毎日たくさんの人達がどこかの展覧会や美術館へ訪れ、観光客だけでなく、住んでいる人たちにとっても身近な存在です。
私も東京に住んでいた頃からエキシビションは好きでしたが、今より少し遠い存在だったような気がします。それは、アートそのものや美術館、それらと一般の人々の間に、少し距離があるからかもしれません。フランスでは、アートやカルチャーが教育に適したメディアだと考えられ、国からの大きな支援があるという背景もあるのかもしれませんね。

 

日本ではなかなかお目にかかれないようなものも多く開催しているので、時々この場をお借りして、その様子をお伝え出来たらいいなと思います。

 

さて、先日、昨年の11月に急逝したAzzedine Alaïa の回顧展 “Je suis couturier ” へ行ってきました。

この展覧会は2007年に、アライア自身が創設したアズディン・アライア・アソシエーションが主催しています。開催場所は、4区にある彼のアトリエ兼住居。スマホで場所を検索したら、BHV(日本でいう東急ハンズのようなお店)のすぐ裏手というからちょっと驚き。というのもこの周辺は賑やかなエリア。私の勝手なイメージではエキシビションが行われる場所というのは、伝統的なオスマン建築が立ち並ぶ閑静なエリアや、サンジェルマン周辺を想像していたから。

 

 

実際に訪れてみると、通りからちょっと奥まった場所に位置する展示会場。

喧騒は影を潜め、静かな空間が広がっていました。

 

 

この展覧会のタイトルにもなっている、アライアの有名な言葉。

 

“ JE SUIS COUTURIE " - 「わたしはクチュリエ」。

 

Couturier (クチュリエ)とは、デザインを描いて、自分でパターンも引き、裁断も縫製も全ての工程を行うデザイナーのことを言います。バレンシアガを創設したクリストバル・バレンシアガも、数少ないクチュリエの一人だったと言われています。

 

 

アライアが生前望んでいた、マレの自宅に自身の財団を作ること。

この思いに触れて、彼がこのマレ地区を心から愛していたんだと知りました。


マレ地区と一言で言っても場所によってさまざまな色がありますが、マレ全体で見て共通して言えることがあります。

それは、自由な精神に富み、新旧と異文化が織り混ざったミックスカルチャーであるということ。

 

トレンド感が高くて新しいお店や人気のレストランが集まる場所でもありますが、中世の名残がある歴史地区であり、ユダヤ人街でもあり、LGBTカルチャーの中心でもあるのです。アライアはチュニジア出身の移民でしたし、異文化やマイノリティーに対して寛容なこのマレ地区が好きだったんだろうな、と。

 

アライアの生涯は、モードのみならず、アート、演劇、音楽、建築など、あらゆるカルチャーへの愛と情熱に溢れていました。彼のこれまでの作品や収集家として集めたたくさんのコレクションは、アズディン・アライア財団が保管し、今後も展示活動を行なっていくそうです。そして、モードの世界における若き才能への奨学金提供にも力を注いでいくことも述べられていました。

 

 

展示作品は1981年から2017年までの、主に白と黒のドレスにフォーカスされ、

選りすぐられた41点のコレクションで構成されています。

 

 

 

80年代に発表されたギリシャ風のミニドレス、同時代を彩ったボディコンシャスなアイコン的作品。

 

  

 

2017 FW 最後のオートクチュール・コレクションで発表されたドレス。

 

 

 

レッドカーペットでしかお目にかかれない様な、圧倒的な曲線美で存在感を示すドレス。無駄を排除し、デザインとシルエットだけで、ここまで力強い表現が出来るのかと感銘を受けました。また、服が究極の肉体美そのものを表現しているかのようでした。

 

全作品、どれもこれも息を呑む美しさに、魅了されたひと時でした。

 

この完璧とまで言える美しさを表現するために、多くの人々が関わり合い、そこに指揮をとる人が居て、着る人が居て、観客が居る。多種多様な構成要素から一つの作品が出来上がる様は、まるで映画のようだと感慨深く思ったのです。アライアの作品には、そんなドラマ性があり、観る人の胸を打つ力があります。

 

さらに、アライアは生前、「私は、細かいディテールや装飾、色などに支障をきたされない何か...美しく、永遠であり続けるものを愛している」と言っていました。彼の作品を見て、それは彼の美学そのものだと強く感じました。生涯、自身がひたすらに追求し続けたもの、彼の人生と生き様を作品を通じて見た気がします。

 

 

 

Azzedine Alaïa “ Je suis couturier ”
開催期間 現在~6月10日(日)
会場 18 rue de la Verrerie, 75004, Paris
開館時間 11:00~19:00 (毎日)

 

 

 

 

 

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