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パリの展示会 ~レア本市編

ヨーロッパの中心であるパリでは、通年様々な展示会が行われています。有名なのは「パリコレ」で知られるファッションの見本市やショコラの展示会「サロンドショコラ」ですが、その他にもインテリア雑貨、アート、車、ビオ食品、化粧品など数え切れないほどの展示会が開催されています。レア本屋さんをされている友人のご主人が出展しているので、レア本フェアに招待頂き潜入してきました。

 

会場はエリーゼ宮のすぐそば、アートや展示会のイベント会場として有名なグランパレです。

 

グランパレは1897年に建てられたガラスドーム型の屋根が特徴の建造物です。ベルエポック調の緑色鉄骨が組み合わさってできた、見ごたえのある建築です。グランパレはパリコレでシャネルの会場として見る機会が一番多いでしょうかね。計算された鉄骨美は、訪れる人を魅了し、何度来ても思わずシャッターを切ってしまいます。レア本フェアは毎年春のこの時期に開催されており、つまり天気がいいと直射日光が差し込み、少し暑いくらいになります。

 


 

下の写真は、グランパレが建設されてた直後の1900年、一番初めに行われたアートフェアの様子。外からのショットですが、歴史を感じますね。

 


 

さて余談はこれぐらいにして、本題のレア本フェアに行きましょう。

 

レア本フェアは主にフランスのアンティーク書店が参加している展示会で、それぞれの書店が得意とするカテゴリーのレア本を数日間の期間で展示販売しています。一歩入ると目の前には、私たちには馴染みのないフランス革装丁本がズラリと並んでいるブースが目に飛び込んでくるので、一瞬萎縮する感じになります。でも落ち着いて。この手の本は大半宗教本などが中心で、よく見るとそれ以外には物語、レシピ本、楽譜本、薬草辞典なんかも見つかり、挿絵も美しく興味をそそられるものにも出会えます。しかしながら、美術品の域になるためお値段もかなり良く、手が出ない領域のものになります。ここで怯まず、美しいアンティーク本を手に取り、こういうところで価値のあるレア本に対する目を肥やしていき、実践であるブロカントでお宝探しをするのも楽しみ方の一つだと思いま

 

ヨーロッパ革装丁の歴史は6世紀頃から始まります。8−9世紀には現在と変わらない装丁法がすでに出来上がってたとされていますが、時代によって紙の綴じ方が違っていたり、15世紀半ばにはイスラム文化の影響でマーブリングが刷られていたり、裏表紙に花模様があしらわれていたり、それぞれの時代の流行が見え隠れしてペラペラめくっていても楽しい発見ばかりです。革の種類、綴じ方、デザインも様々あるのがフランス革装丁の興味深いポイントです。今でも街を歩けば装丁屋のアトリエがあったりしますので、大切な古書の革装丁を張り替えたりする文化が今でも続いており、そして需要があるということの表れですね。素晴らしい文化です。

 

 


 

私は18−19世紀に流行したドミノペーパーの本を探しながら歩き回って見ていましたが、唯一一軒だけ小さなドミノペーパー装丁の本を持っていました。高くて断念しましたが、そう簡単には見つからないものですね。目に焼き付けておきました。

 

また、私はなんとなくパリの写真集や本を集めていたりするので、「パリ」をテーマにしている古書店も気になり覗いてみました。

 

 


 

パリにまつわる本がズラリ。目に飛び込んでくる文字も「Paris」「Rive Gauche」「Seine」など、パリにまつわる言葉ばかりです。飾ってあるだけで単純にお洒落ですね。本だけではなく、地図、デッサン、カード、箱など色々なパリに関するアンティーク紙物が販売されています。

こちらは友人が一目惚れした”Les cris de Paris(レ・クリ・ド・パリ)”というパリ行商カード。日本のお豆腐屋さんや焼き芋屋さんのように、16−19世紀に於いて街で商人が行商時の呼び込み文句を発していたということが記録されていますが、この古いカードには商人の物を売る様子を描いた挿絵と「焼き芋~」のような”うたい文句”が書かれています。古いトランプ同様に、行商カードも揃って出てくることはあまりない貴重なものなようです。

 



レア本だけでなく、レア写真やレアポスターなども販売されています。言わずと知れた有名画家のデッサンやポスターともなるとコレクターも多く大変価値もあるので、出展者はお客様誘致のためによく見える位置に飾っているのが印象的です。まんまと足が持って行かれてしまっている素人の私です。マティスやピカソ、コクトーなど、パリに集まった有名アーティストの作品の”かけら”が手にとって見ることができます。お宝だらけのフェアですね。

 

私が気になったブースがもう一つ。そこは料理専門の古書店です。

中でもアメリカ文化に影響されていた時代を感じるカクテルのレシピ本などはオーセンティックなデザインがカッコよく、思わずドキッとして止まって見てしまいました。少し男性寄りな嗜好ですが。。。

 



こちらはワインに関する書物の陳列棚。その名も「Le Vin(ワイン)」には、熟成の仕方や葡萄の種類の詳細が記された本でした。表紙が折り返されている”L’ART DE FAIRE LE VIN (ワインの芸術) »と書かれたページを見せてる本は、思わず続きが読みたくなる”つかみ”の部分をあえて開いて見せるテクニックにまんまと引き寄せられました。さすが!洒落てるな、と心の中で感心していました。本も表紙だけではなく、挿絵やタイトルなどの見せ方一つでグッと引き込まれる見せ方があるのですね。ちなみにパリのモンマルトルの丘に葡萄畑があるためか、パリで発刊されたワインについての古本は意外と多く、セーヌ川沿いのブキニスト(古本屋)に並んでいて見つかりやすいです。

 


 

出展者の中には、日本の古書を得意としている本屋さんもちらほらあります。日本の春画がコレクターが多いのか、たくさん目に付いた(どーんと広げて置かれている。)ような気がしました。どのジャンルでも日本のものは良し悪しありますが、いずれのものもオタクウケが良いですね。日本文化はオタク向け文化!?

 

このレア本フェアは宗教、食、地域、音楽、エロス、絵本、アート、とにかく非常に古い、などなどジャンルは様々です(近代以降のファッションはありません)。普段触れられないようなレア本に直に触れることができて解説もしてもらえるこの展示会では、深い発見と追究した末の感動が拾えるのが特徴です。少しハードルの高いマニア向けのフェアだと思いますが、本を通してフランス史に触れるには程よい良い体験型であり、フランス知識を時代別に当てはめて再認識できる機会にもなりうると思います。

 

本はカテゴリーの幅が広すぎて追いきれないところがありますが、自分の目線で興味のあるカテゴリーを見つけて収集していく事で、自分らしい個性や嗜好の統一感が少しづつ表われていくものだと思います。

古書といえば、セーヌ川沿いにある緑の箱で営業している古本屋さんを思い出す方も多いのではないでしょうか?意外とレア本が見つかることも多いようですよ。お試しください。

 

 


 

レア本フェアの詳細はこちら;

Salon du livre rare et de l’objet d’art

https://www.salondulivrerare.paris

 

文・福島 明子(パリ在住コーディネーター)

インスタグラム https://www.instagram.com/akiko.fukushima/

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