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手仕事探訪、愛すべき素朴なチェコの藍染【いろどりのチェコ vol.4】

豊かな自然から生まれたテキスタイル。伝統の藍染工房を訪ねました。

初冬のある日、チェコの藍染工房を訪ねた。

 

チェコには伝統の藍染がある。多くの藍染工房は、一時期の政治的弾圧もありほとんどが閉鎖してしまい、現在は国内でたった2軒の工房しか残っていない。わたしが訪ねたのは、そのうちの一つ、スロヴァキアとの国境にほど近い小さな街ストラージュニツェにあるヨフさん一家の工房。

 

ストラージュニツェは、夏の間は観光客も多く賑わっているが、冬となったら静かな郊外の街だ。住宅の並ぶ一角にオリジナルテキスタイルのタペストリーの掛かったその建物はあった。

 

 

看板に書かれている「Modrotisk」とはチェコ語で「藍染」という意味。

 

入口はショップになっており、工房で作った生地や商品を買うことができる。これらの商品は、いくつかの小売店へも卸しているが、チェコに住んでいても藍染商品を見ることはめったに無く、どこでも買えるものではない。わたし自身これほどの品揃えを見たのは初めてで、どれを買うかすっかり悩んでしまった。


基本的な作り方は同じであるはずの日本の藍染とはまるで違ったものに見えるのが面白い。

 

お店の奥さんに「工房を見せてもらうことはできますか?」と聞くと「もちろん!」と快く建物の中の工房エリアへ案内してくれた。

 

代々家族経営で、今も一人の職人さんを除いては全員ファミリーだそう。壁に飾っている写真は、創業者から今までの家族の写真。

 


一番古い版は200年以上も前に作られたもので、今も現役だそう。

 

 

 


 

藍染の工程はいたってシンプル。版をスタンプのように白い生地に連続して押し、それを染液の中へしっかり藍色がつくまで浸し、先に型押しした部分を熱で剥がせば白い柄が現れるという仕組み。

言葉にすると簡単そうであるが、それぞれの工程で職人さんたちの工夫やこだわりがある。口承されてきた技術は何物にも変えられない。冒頭に書いたように、現在は国内でたった2軒の工房しか残っていないので、チェコの藍染が後世に伝わるかどうかの運命はこの工房にもかかっているのだ。手仕事の良さが若い世代にも再認識されることを願ってやまない。

 

 

チェコ藍染のモチーフは、豊かな草木や野花、農家の暮らしの中からアイデアを得た身近なものが多い。自然を愛で、ささやかな暮らしを楽しむチェコの人々にぴったりだと思う。

 

チェコ歴の浅いわたしがチェコの自然を身に纏うなどおこがましいが、工房のオリジナルパターンである水面の水紋をモチーフにしたスカートを手に入れた。藍染の存在感が大きすぎてわたしにはまだ服に着られている感しかない。おしゃれなチェコのおばあちゃんのように履きこなせる日は来るのだろうか。

 

文・Noriko Naniwa

ブログ:http://www.howtobeczech.com

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