フォークロアを楽しみ尽くす、4年に一度の祭典【いろどりのチェコ vol.20】

 

私が住んでいるチェコ・南モラヴィア地方のキヨフという街で、4年に一度開催されるフォークロアフェスティバル「スロヴァツキー・ロク(Slovácký rok)」

8月中旬、四日間に渡ってパレード、音楽、ダンス、ワークショップなどの催し物が行われる。人口たった1万人の街に約3万人が訪れるチェコ最大のフォークロアイベントだ。

南モラヴィアは伝統芸能が盛んな地域で、フォークロアのお祭りは毎週のようにどこかの村で開催されているほどだが、開催頻度が4年に一度だけというのは珍しくその特別さが際立つ。開催前から街の人々が浮き足立ってくるのを肌で感じ、私もとても楽しみにしていた。

スロヴァツキー・ロク教会を舞台に見立てた民族衣装のファッションショー

 

民族衣装のパレードには南モラヴィア地方の40以上の村から3,000人以上の老若男女が参加。集落ごとにデザインの違う衣装を見られるのが醍醐味だ。

パレードに参加している村の中には訪れた事のある村もあるので、「あぁ、あのワイン畑が素晴らしい村に住んでいる人たちなのだなぁ」などと人々の暮らしに思いを馳せる。

お酒を飲んだり、歌ったり、沿道の知人に手を振ったり、各々が自由に行進を楽しんでいる姿は見ているこちらまで誇らしい気持ちになる。


スロヴァツキー・ロク
文字通り老若男女が集う


スロヴァツキー・ロク
ワインの産地南モラヴィアではお祭りにはワインが欠かせない


スロヴァツキー・ロク
飲みながら歩く伝統的な作業着の男性たち


スロヴァツキー・ロク
馬もカラフルに飾りつけられる


スロヴァツキー・ロク
振る舞いワイン

 

フェスティバルならではの好きな光景がある。突如、路上で輪になって歌い出す人々だ。ステージ上でもなく、予定されていた訳でもなく、気の向くままに好きな民族歌謡を奏で歌う。しかも上手い。

私の住むアパートメントはメイン会場である広場に近い大通りに面しているため、期間中は家の中にいながらにして常に音楽が聞こえていた。なんという贅沢だろう。

スロヴァツキー・ロク見守る人々も一緒に口ずさんでいる

 

以前に通りすがりの私と友人を家に招き入れお酒をご馳走してくれたおじさん(→過去記事)との偶然の再会もあった。

フェスティバルでは、切り出した高い木を広場に立てる。「メイポール」と呼ばれるこの木は、お祝いのシンボル。機械を使わず大勢の男性たちが歌ったり飲んだりしながら人力のみで立てるという、設置作業自体がフェスティバルの見せ場の一つになっているのだが、この木を提供するのがおじさんの住む村だったのだ。4kmほど離れたその村から馬車に乗せて木を運んで来たらしい。

 

スロヴァツキー・ロク

スロヴァツキー・ロク

 

この記事を書いているのはフェスティバルを終えた翌朝なのだが、いつもなら賑やかな月曜の朝にも関わらず通りが静まり返っている。みな燃え尽き、ゆっくりとした週明けを過ごしているのだろう。

晩夏の一大イベントを終え、秋を迎える心の準備が整った。

 

文・写真:Noriko Naniwa
Blog:www.howtobeczech.com