“SPESA SOSPESA” かたちを変えた思いやりの習慣【フィレンツェねこ歩き vol.13】

去る 2020年4月12日は [Pasqua 復活祭] でした。
キリスト教圏では、イエス キリストが復活した日として
クリスマスと同等以上に盛大に祝われます。

 

 

しかし今年は緊急事態、厳しい外出制限のもと、
もちろんパスクアも例年通りとはいかず。

 

そんななか、イタリアのテノール歌手 Andrea Bocelli 氏の歌声が
ミラノのドゥオモから YouTube でライブ配信されました。

誰もいないドゥオモで響く Andrea Bocelli 氏の祈りの歌声が
世界の人々のこころに染みわたる、涙を誘う素晴らしいコンチェルトでした。

 

 

さて、ところ変わってナポリから。

ナポリのバールでは
[Caffè Sospeso カフェ ソスペーゾ]という古くからの習慣があります。
宙ぶらりんなコーヒー、保留のコーヒー、誰が飲むか決まっていないコーヒー、つまり
[誰かのためのコーヒー] といったところでしょうか。

余裕のあるひとが、自分の分ともう 1杯分コーヒー代を支払います。
そこに、懐に余裕のないひとが 「今日は僕の分ある?」 とバールを訪れます。
誰かが余分に支払ってくれたおかげで
困っている誰かがコーヒーを飲むことができるという、
微笑ましい思いやりの習慣なのです。

 

 

コーヒーはいわば嗜好品といわれるもので、お腹を満たすものではありません。

しかしそのコーヒー 1杯で、バールに居合わせたひとと会話が弾むかもしれませんし、
それによって、社会とのつながりを回復するきっかけになるかもしれません。
そんなコーヒー 1杯の無限の可能性を想像すると、
さりげないながらも、こんな粋な思いやりのかたちがあるのかと
感慨深く、ほっこりした気持ちになります。

そしてこのほど、この [Caffè Sospeso] がかたちを変えて
新しい思いやりの輪になっているそうなんです。

こちらはナポリ在住 @_iam_martina さんの Instagram での投稿。
[Caffè Sospeso 誰かのためのコーヒー] ならぬ
[Spesa Sospesa 誰かのための買い物]。

 

https://www.instagram.com/p/B-Ui7W5o0wX/
@_iam_martina

 

[Chi può metta, chi non può prenda]
[買えないひとのために、買えるひとが入れてください]
と書かれたバスケット。
必需品の購入に余裕のあるひとや、支援団体からバスケットに食料品を入れてもらい、
バスケットを引き上げて、バルコニーや窓からそれを受け取ります。

もともとナポリの下町にある、バルコニーからバスケットやバケツを下げて
ちょっとした買い物をするという、古くからの習慣も関係しているようです。
近所の商店に大きな声で注文し、バスケットにお金を入れて下げ、
商品を入れてもらって引き上げるというもので、
ご近所さん同士の信頼関係があってこそ成り立つシステムなんですね。

 

そしてナポリではじまったこの思いやりの輪は、イタリア各地や、
フィレンツェにも広がりをみせているようです。

こちらはフィレンツェ在住 @paradiseofexiles さんの Instagram での投稿。
困った時はお互いさま、と助け合う人々の姿にとても励まされます。

 

https://www.instagram.com/p/B-2C6uACtav/
@paradiseofexiles

 

閉塞感漂う日々が続いていますが、
こんな時だからこそ、決して利己的にならず、
困っている誰かに手を差し伸べられる自分であろうと思わせてくれる
こころあたたまるエピソードでした。

 

 

 

 

 

foto / design il NODO

web ・ Instagram ・ LINE STORE ・ minne ・ CreemaEtsy