世界の危機、チェコで起こった静かなムーブメント【いろどりのチェコ vol.24】

この記事を書いている3月後半の某日、私の住むチェコは緊急事態宣言中。具体的には、国境封鎖、出入国原則禁止、外出制限、マスク着用義務、生活必需品を扱う以外の店舗は閉店、などなど。一週間に満たない間に、かつて聞いたことのないような制限が次々と急スピードで決まったので、数時間おきにニュースを確認しなければ、知らずに違反してしまうほどだった。

距離を空けて郵便局に並ぶ人たち。私は自主隔離しているので家の窓から通りを眺めている。

 

世界中、現段階では特に欧州の多くの人が「家にいる」しか出来ない状況、ソーシャルメディアを眺めていると励まし合う方法にもお国柄が表れていて興味深い。イタリア人やスペイン人がベランダから歌っていたのなんて代表的だ。

 

さて、チェコ人の場合はどう過ごしているのだろうかと考えた。チェコ人はラテン系ほど陽気ではない。

そこで、歌う代わりに一番の流行となったのが、「マスク作り&着用」だ。

 

欧州では本来マスクを着用する文化が全くない。コロナウイルス以前に、もし街中でマスクを着けて歩いていたら感染症患者だと思われ避けられただろう。

コロナウイルスが発生して以降も、医療従事者以外でマスクを着用している人は長らく見なかった。それが、数日前に政府から正式に「外出の際は口と鼻を隠すよう」お達しが出たのだ。

その翌日は、まだ照れがあるのかマスクを着けている人は半分ほど(自宅窓からの調査に基づく)。しかし、数人のインフルエンサーやセレブリティが、マスク着用セルフィーやマスクを自作している様子をソーシャルメディアにアップし始めるとあっという間に風景が変わった。人々が好みの柄のマスクを作って着け始めたのだ。チェコ語で「皆にマスクを」という意味のハッシュタグ#rouskyvsem も生まれた。

 

市販品は品薄なので、一般市民にはマスクの手作りが推奨されている。せっかく手作りするなら好きな柄の布を選ぶでしょ、となるのは当然といえば当然。白いマスクが当たり前の国からやってきた私には盲点だった。

例えば、プラハ在住のブロガー ZUZさん(インスタ@zuzstories)のハンドメイドマスクがこちら。インスタグラムで作り方も紹介している。ブラウン系のナチュラルファッションが似合う彼女にピッタリなマスク。マスクをおしゃれに生かそうなんて考えたことなかったけれど、市販の白いものより明らかにこの方が彼女のナチュラルスタイルに合っている。マスクがこんなに可愛くなるなら真似したくなるでしょう?

写真提供:zuzstories(https://www.instagram.com/zuzstories/) ファッションもインテリアも最高にセンスが良いプラハのファッションリーダー。

正直、いくらマスク着用が義務付けられても恥ずかしがって着けない人は一定数いるだろうと予想していた。私の予想は大外れである。今や国民のマスク着用率は限りなく100%。

外出制限で時間を持て余したところへマスクの需要。何でも自作するのが好きな国民性と相性がピッタリだったようだ。(生活必需品を扱うスーパーや薬局以外は閉鎖が義務だが、マスクのために手芸店は開店OKとなった。)

自分らしい生地を選んで可愛い・かっこいいマスクを着用するのがムーブメントに(しかも、たった2〜3日で)なるなんて、夢でも見ているよう。

 

自作が難しい人のために作れる人がたくさん作ってシェアするウェブサービスがすぐに生まれたり、私の市では市役所経由で寄付すれば消毒した上で高齢者から順番に市民に配られたり、自分で使うだけでなく人々が助け合うきっかけにもなっている。

日常生活が制限され不安なニュースばかりが目に入る中、静かに色とりどりのマスクを作るチェコの人たちにすっかり励まされている。

 

Text:Noriko Naniwa
Blog:https://www.howtobeczech.com/