Caffè Le Giubbe Rosse 芸術家に愛されたバール / バールのススメ 1【フィレンツェねこ歩き vol.9】

こちらは、ドゥオモ広場から延びる
デ マルテッリ通りの端にある小さな古本屋さん。
なにかとおもしろい本がみつかるので、
通るたびにのぞいてしまう本屋さんのひとつです。

ある日、こんなツボな本をみつけました。

[CAFFÈ LETTERARI A FIRENZE フィレンツェの文芸バール]

(タイトルの [LETTERARIO 文芸的な] という言葉には
その昔バールには多くの文学者、詩人、商人、実業家、政治家、革命家、芸術家が集い、
社交の場であると同時に、様々なアイデアが生み出される場であった
という意味合いが込められているようです。)

老舗中の老舗に特化した、フィレンツェの歴史ごと凝縮された興味深い一冊。
フィレンツェのバールを極めたいわたしにとって、まさにバイブルのような本です。

まずはイタリアのバールの基礎知識をざっくり。

 

[朝食からアペリティーヴォまで]

朝はブリオッシュとカプチーノ、お昼は軽食や食後のカフェ、
午後はドルチェでおやつ、夜はアペリティーヴォ (夕食前のカクテルとおつまみ)。
バールは朝から晩まで、時間帯によって使い分けて楽しめる
イタリア人にとってなくてはならない癒しの空間です。

[カフェ イタリアーノ]

いわゆるドリップとは抽出方法が異なる、カフェ イタリアーノ。
基本は [エスプレッソ (通称カフェ)] です。
これに泡立てたミルクを少量のせて [カフェ マキアート] になったり、
もっとのせて [カプチーノ] になったり、
エスプレッソ 2杯分を氷、シロップと一緒にシェイカーでシェイクして、
ふんわり泡立った冷たい [カフェ シェケラート] になったり。
そのバリエーションは 50種以上ともいわれます。

 

[オーダーの仕方]

先払いか後払いかはバールによって異なりますが、
分からない場合は、先払いでまずレジでお会計するのが無難。
レシートをカウンターで見せてオーダーします。
特に中心地では [Banco 立ち飲み] か [Tavolo テーブル席] かでお値段が異なり、
さっと立ち飲みであれば、カフェ 1杯おおよそ 1.2€ (150円程度) で飲めちゃいます。

フィレンツェには、現在も続く老舗のバールがいくつかありますが、
多くは昔ながらの名を受け継ぎ、それぞれの雰囲気を維持しつつも、
経営者が変わったり、経営方針が変わったり、
そういった影響のためか、働くひとや豆の種類が変わったり。
そのくらいの変化であれば良い方で、
つい数年前には、お気に入りだった老舗のバールが閉店してしまったなんてことも。。

時代の流れに抗えない、大人の事情的なものを感じることが多々あります。
老舗の暖簾を守るのは大変なことですね。

ということで今回は、この本のなかから 1軒
表紙にもなっていたバールをご紹介します。

[Caffè Le Giubbe Rosse ジュッベ ロッセ]

1896年創業。1910年に、ウエイターが着ていたジャケットにちなんで
[ジュッベ ロッセ 赤いジャケット] と名付けられました。
多くの知識人や芸術家が出会い、集い、語らい、
フィレンツェの文化、芸術、歴史に大きな影響を与えました。

壁一面に敷き詰められた絵画や、アーティストによる個展など、
その名残は今も随所にみられます。

しかしそんなジュッベ ロッセ、
2019年秋に一時閉鎖してしまいました。
またしても老舗が、、と落胆していたところ、
年末、新聞 LA NAZIONE FIRENZE にこんな記事が。

[ジュッベ ロッセ、屋外エリアを解体]

記事によると、競売にかけられたジュッベ ロッセをカザフスタンの億万長者が買い、
昔の姿に戻すために、内装の改修に加え、
屋外に設けられていた屋根のあるエリアを解体している。
2020年春、パスクワ (イースター) の頃に再開予定、とのこと。

屋外エリアの解体には市長もばっちり立ち会い、
歴史的な文芸バールの復活を歓迎するという内容でした。

さらっと一読した伊友が、
『ジュッベ ロッセ、日本人のカザコってひとが買ったんだって』 と言いました。
記事には [un miliardario kazako 億万長者カザコ] とあり、
『カザコ?カズコとか、カツコとかでもなく、、
しかも頭が小文字、男性名詞になってるし、そもそもファーストネームのみって』

調べたところ [kazako] は [カザフスタンの] という意味でした。
たしかに、ぽいっちゃぽいけど!

 

なにはともあれ、ジュッベ ロッセが再開してくれるというのは何よりです。
しかも、古き良き時代の姿に戻そうという気持ちが嬉しい。
春にはこんなオープンテラスが復活するのかなぁ。
とっても待ち遠しいです!

 

 

foto, disegno / design il NODO

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