木工天国チェコ。木の匙で作って食べて【いろどりのチェコ vol.23】

チェコは工芸、なかでも特に木工が盛ん。
木製のマリオネットや置き物はお土産の定番だし、子どものオモチャも手づくりの国産品に定評がある。

自らの日々の暮らしを振り返ると、台所でつかうカトラリー・キッチンツールに木のアイテムが欠かせない。

木製カトラリーの良い点は、何と言っても口当たりのやさしさだろう。
熱い飲み物に浸けても熱くなりすぎず、温かい食事を金属の冷たさで冷ますこともない(アイスクリームだけは金属のスプーンの方が美味しいと思うけれど)。日本のお味噌汁のようにチェコでも日々の食事に欠かせないスープ。木のスプーンを使った方が同じものを食べても美味しく感じるのは本当に不思議だ。

二種類の木を使ったバターナイフは珍しいルックスに一目惚れして購入。しかし、肝心のバターを切るのには木の厚さが使いにくい欠点があり、ジャムやクリームチーズをパンに塗るのに活躍中。

チェコで出会ったキッチンツールでもっとも使用頻度が高いのが、この大きな匙。チェコ語の名前は「ヴァジェチュカ(vařečka)」。どのチェコ家庭にも一本はある。長さは30cm前後で先の楕円が食事用スプーンより一回り大きいくらいのものが一般的なサイズ。

シチュー、スープ、ソースのような液状に便利そうなのは想像できる通り。それまで菜箸で調理していた野菜炒めやチャーハンにもこの形が具合がよいことを知った。金属と違い鍋やフライパンを傷つけないので、こびりついたところを思いっきり刮いでもいいし、皿によそうときにはお玉代わりになる万能選手。普及すべく、自炊派の日本の友人には必ずこれをお土産にする。

湿気の少ない気候なので、日本で木製キッチンツールを使うときほどカビに気をつける必要はなく、洗って放っておけばアッというまに乾くのも毎日ガンガン使う道具としてはありがたい。

スーパーでも買えるがマーケットだとこんなにたくさんの種類が。スプーン類は一本200円前後。

魔女が使いそうな大きなスプーンは大量の保存食や肉の調理に使われるため、意外にも買う人が多い。

一世代前のステレオタイプに、子どもを叱るときにお尻を叩くというのがあったと思う。日本だったら布団叩きが使われるところ、チェコでは前述のスプーンだったそうだ。さすがに今の時代にそんな家庭はめったにないと思うけれど、「一家にひとつ」あるモノの代表なのは変わりない。

 

見た目にかわいく手触りのよい木工ツール。お気に入りを使う一瞬の心地よさがちょっとだけ気分を上げてくれる。

 

 

文・写真:Noriko Naniwa
Blog:http://www.howtobeczech.com/