【甲斐みのりの隙間の時間】冬の京都でチョコレートを

冬はチョコレートの季節です。
体の芯まで冷え込む朝、コートのポケットにチョコレートをひょいと入れて出かける習慣は昔から。信号の待ち時間や駅のホームで、チョコレートの包みを、そっと開いて口に運び、甘い塊を少しずつ溶かします。すると、寒さでこわばった体の緊張がじんわり緩み、しなやかに歩くことができるのです。

温かい部屋で過ごしながら、熱いお茶とともにチョコレートをつまむのも至福のひととき。それゆえ、冬の手みやげや贈りものにも、チョコレートをよく選んでいます。

 

底冷えする12月の京都の通りを歩きながら、いつもより軽やかな足取りでいられたのは、京都に暮らす2人の友人との待ち合わせ先が「セゾン ド セツコ京都ショコラトリー」だったから。「セゾン ド セツコ」は、幼い頃から大好きなチョコレートメーカー「メリーチョコレート」の一ブランド。日本ならではの、四季や色彩、様式美などをテーマに、和の要素を取り入れたチョコレートを展開しています。そのセゾン ド セツコが今年の10月、京都市役所近く(麩屋町御池を下がったところ)に、京町家をリノベーションしたショコラトリーを開いたと知って、訪れる日を指折り楽しみにしていました。東京と京都と離れて暮らしながらも、年に数回京都に滞在するたび、一緒においしいものを味わう友人たちと、“次に会うのはここ”と決めていたのです。

間口はこじんまり、入ると奥行きがある京町家の店舗。

セツコ=節呼。ブランド名にもステキな意味が込められています。

京都屈指の歴史ある旅館や蕎麦屋が建ち並ぶ、いかにも京都らしい麩屋町通り。そこに老舗の扇子屋が、雅やかに扇子を投げて遊ぶ「投扇興」のために所有していた町家を譲り受けてできたのが、セゾン ド セツコ京都ショコラトリー。1階の入口には、おみやげを選ぶのにも役立つショコラショップ、その奥には坪庭を眺めながらチョコレートを使ったメニューを味わえるカフェが。階段を上がった2階にも客席があります。日本の美学や職人の精神性に精通した和紙デザイナー・堀木エリ子さんが空間デザインを手がけているので、京都らしさに包まれたい方や、海外からの旅行者も大いに喜ぶはず。年明けに家族で京都を旅する予定があるので、そのときにも立ち寄ろうとさっそく予定に組み込みました。

坪庭のある1階の客席。
苔が美しい坪庭。
天井が高くゆったり寛げる2階の客席。

メニューでまず目を引いたのが、砕いたショコラとホットミルクを茶筅で混ぜて、トッピングと合わせる「茶筅ショコラドリンク」。ショコラは抹茶とビターの2種類あり、抹茶は、きな粉・黒蜜・柚子、ビターは、蜂蜜・ラズベリー・胡椒のトッピングがついています。友人2人が1種類ずつ注文したので、どちらも味わうことができたのですが、トッピングごとに風味が変わり、組み合わせの妙に驚きの連続。ミルクはポットに2杯入っているので、3人で味見しながらたっぷり楽しめました。

私が注文したのは、溶かしたガナッシュショコラに、フルーツや焼き菓子をディップして味わう「ショコラフォンデュ」。ショコラと抹茶、2種類あるうち、ショコラを選びました。白玉、クランチチョコレート、ごま風味の焼き菓子、バナナ、イチゴ、キウイ、オレンジ。とろとろのチョコレートにトッピングを絡める瞬間、口に運ぶ瞬間、幸せの連続。子どもの頃からのチョコレートへの憧れや愛情を満たすことができました。他に、「米粉のロールケーキ」や「ショコラテリーヌ」もあったので、こちらはまた次回に。

チョコレートを味わうこと以上に、チョコレートや京都らしさを体験することができた、得難い時間。

帰りがけには、ショコラショップで買いものを。職人が一つずつで作業でデコレーションをほどこす「季節のショコラ」には、舞妓、竹林、五重塔と、京都店限定商品もありました。

「季節のショコラ」。薔薇はラム酒入りミルクガナッシュ。マーガレットはヘーゼルナッツジャンドゥヤ。

ホットチョコレートでぽかぽか体も温まり、来たときよりもさらに軽い足取り。まだ鼻や口に残る芳醇なチョコレートの香りとともに、冬の京都を歩きました。