わたしはいまベルギーの首都のブリュッセルに住みながら、編み物作家としてミトンを製作しています。
ヨーロッパでものづくりなんてかっこいい響きですが、正直なところわたしがいまブリュッセルに住んでいるのは、だんなさんの海外赴任にくっついてきたから。。。海外で働きたい、自分を磨きたいといった前向きな理由ではありませんでした。
でも実際に暮らしてみると、ベルギーの美しい景色や四季の変化、街の雰囲気や国民性、文化や風習に新鮮な感動と刺激をもらい、形にしたいデザインがどんどん出てきました。
日本にいては経験できなかったことが、いいことも悪いことも日常生活でどんどんでてきますし、ある意味テキトーなベルギーの人々にこちらも寛容になってきます。
わたしがまずかわいい!!こんなミトンをつくりたい!と思ったのがベルギーの街並みです。
上はゲントの街並み。下はブルージュです。
ベルギーにはレンガや石で造られた昔からの建物がいっぱいです。自然災害がほとんどないことや、古いものを直して使うベルギー人気質がその要因なんでしょうね。住宅も外はそのままで中だけリフォームするそうです。
三角の屋根に煙突がにょきにょき出ていて、建物と建物がくっついています。
屋根や壁はオレンジ色などの暖色が多く、それもかわいい。
日本では出会えなかった、かわいさと古めかしさのある景色はわたしの創作意欲をかきたてました。
またブルージュはレースの生産が有名な街です。いまでも手仕事でレースがつくられていて、街にはレースを売るお店がいっぱいあります。
(ガラス越しにわたしがうつっていてすみません)
手仕事とは思えない繊細なつくりでアンティークのものだと数十万円もするそうです。
(安いものは中国製や台湾製なので注意!)
いっしょに飾ってある図案をみるだけでもわたしはうっとりでした。
こんな細かい模様は編み物ではなかなか再現できませんが、ブルージュのレースのようなかわいらしい模様のミトンをつくりたいとデザインしました。
レースはやはり白が美しいので初めて白×白の毛糸でミトンを編みました。
並べてみるとブルージュのレースには似ても似つかない感じもしますが、可憐でナチュラルな雰囲気のミトンになりました。
またベルギーの道は今も石畳がいっぱいです。
車道が石畳のところもまだまだあって、そんなところは横断歩道も石でつくられているんです。
(横断歩道のところだけ白い石)
おもしろくデザインされて石が配置されているところも多くあって、最初のころは初めての道を通るときは下をみてチェックするのが楽しみでした。
そういう道を見て過ごすうちにできたのがこのミトンです。
パターン化された石の道は、ベルギーの街並みをまた美しくみせてくれています。
ただ街歩きには注意が必要で、石畳はびっくりするほどガタガタだったり、はずれていたりしますし、あとはペットの落し物もよくあるんです。踏みたくないので要注意です!
ものづくりをするにあたって、万人受けはしなくても、わたしにしかできないもの、わたしがかわいいと思うものを細々とでもじっくりと作り続けようと思いました。
ベルギーでの生活は、わたしの製作に想像以上の可能性をひろげてくれました。
海外で生活することは、大変さも含め、豊かなものをわたしに与えてくれています。
こうしたベルギー生活でうまれたミトンたちは、10月21日から名古屋のepanouirさんで行われる個展で並べます。
「handmade mittens SUNAO 展 from Belgium」です。
詳細はわたしのHPかインスタグラムをチェックしてくださいね。
文・塩田素直(編み物作家・handmade mittens SUNAO)
インスタグラム: https://www.instagram.com/shiotasunao/
HP: http://sunaomittens.petit.cc/