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今回のテーマは「いろどり豊かな、名古屋の和菓子」【甲斐みのりの隙間の時間】

雑誌やwebメディア、書籍など、様々な場所で活躍する文筆家、甲斐みのりさんによる日々の気づきを記したエッセイです。

 名古屋一の老舗茶舗、「升半茶店」を取材したのは、名古屋在住のスタッフとともに作る『名古屋のたからもの』の取材のときだ。名古屋が「茶どころ」と言われるのは、尾張地方に古くから家庭で抹茶を喫する習慣が行き渡っていたからだと話しを聞かせていただいた。畑仕事の合間に田の端で近所同士集い抹茶を飲んだり、ちょっとしたおもてなしにも客人に気軽に抹茶を出していたという。

 

 茶事が根付く土地に和菓子屋の名店ありというのは、菓子好きの間でよく知られたこと。和菓子には、関東風・関西風と分類されるものがあるけれど、どちらものよいところをほどよい形で取り入れているのが名古屋らしくあるように思う。京都の和菓子はきっちり専門店にわかれているけれど、名古屋は近所に暮らす人たちが、ハレとケどちらでも日常的にお菓子を求められるように、一つの店でいろいろな種類のお菓子が扱われていたりする。ときに和の素材を取り入れた洋菓子を扱う店もあり、お正月もクリスマスもなんでもない日のおやつも、孫世代から祖父母世代まで、家族3代で好みのお菓子を選ぶ場面に遭遇できるのも微笑ましい。

 

 そんな名古屋で毎年秋になると、まちじゅうが舞台の「やっとかめ文化祭」が開催される。狂言・歌舞伎・筝曲・民謡など街角で上演する「芸どころまちなか披露」、街の歴史や文化を学ぶ「まちなか寺子屋」、「まち歩きなごや」や「お座敷ライブ」などなど。150超える多彩なプログラムが用意され、みなで名古屋の伝統文化を体感できる。

 

 今年、私は10/28(土)~11/19(日)の特別企画「名古屋てくてく和菓子めぐり」に参加させていただくことに。江戸時代から続く老舗から、近所の子どもたちが小銭を握りしめておやつを買いに通うまちの宝物のようなお店まで、21店舗を巡り、その店がこの秋にいちおしする秋の味を案内。その21店舗を紹介するフリーペーパーと、スタンプラリーの台紙を持って(どちらも配布はこれからで、10月初旬頃の予定)、名古屋じゅうの和菓子屋を訪ねる旅を楽しめる。

 

 和菓子は、土地や店の歴史、作り手の人柄も、味わいの一つ。ひと足早く21の店を巡り終えた私の中には、ほくほく優しい後味が。味、素材、お菓子の意匠、菓名の由来、店の歴史と土地の歴史、包み紙のデザイン、店主の個性……。さまざまな角度から、名古屋の和菓子を感じていただけたら。

 

 今後配布予定のペーパーで紹介しきれないお菓子の写真をご覧ください。

 


 

創業から380年以上、名古屋の歴史とともに歩む老舗「両口屋是清」。色鮮やかな錦玉のお菓子「室の氷」は夏限定のお菓子ですが、ちょうど夏の終わりと秋の始まりが重なる時期に訪れたので、最後の品を手にできました。今のように、冷凍庫などなかった時代、自然の中で作られた氷を表したお菓子。紅は梅肉、黄色は生姜、青はミント、緑は柚子、白は氷砂糖と、味わいも豊か。また次の夏を楽しみにいただきました。

 


 

名古屋みやげ・青柳ういろうでおなじみの「青柳総本家」。イートインできる「KITTE名古屋」で大人気の「カエルのミルク風呂」。ミルクシェイクと、カエルまんじゅうの組み合わせの妙。カエルは青柳総本家のロゴマークで、「無事カエル」などの語呂合わせもあって、旅のおみやげとしても定番に。

 


 

「青柳総本家」の青柳ういろう。昭和20~50年代に使用されていた柳宗理さんデザインパッケージの復刻版。

 


 

1200余体の円空仏を所蔵する「荒子観音」近くの「もち観」名物、円空 大黒天もなか。

 


 

名古屋ではお茶会のお菓子として愛される「川口屋」の季節のお菓子。ワンピースやブローチのデザインにしたくなるような愛らしい意匠。

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