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今回のテーマは「村上開新堂の新しいカフェへ〜オレンジゼリーは夏の京都の味〜」【甲斐みのりの隙間の時間】

雑誌やwebメディア、書籍など、様々な場所で活躍する文筆家、甲斐みのりさんによる日々の気づきを記したエッセイです。

 

 姫路市立美術館で9月10日まで開催中の、杉浦さやかさんの展覧会でトークショーに参加させていただいたあと、京都に2泊。友人の店や新居を訪ねたり、食材を買い込んだり。旅から帰ってしばらくは山積みの仕事を向き合うため室内にこもりきりになるのだけれど、姫路や京都から持ち帰った包みや味が、見慣れた静かな部屋の中に他の土地の匂いや余韻を漂わせる。

 

 コーヒー、お茶、お菓子。朝食、おやつ、夕食後のひととき。数日前の今頃は、あの場所であの人たちとあれを食べていたっけなあと思い出すのがとても好きだ。楽しかった時間を隅々まで反芻したくて記憶の中を右往左往してみる。でも、全然思い出せない。思い出せないさみしさまでに噛みしめながら、少し前の楽しかった時間をさかのぼる。

 

 京都では、明治40年に寺町二条で創業した洋菓子店「村上開新堂」に立ち寄るのを楽しみにしていた。今年の春、売り場の奥に、カフェができたと知って。築90年の日本建築に手を入れた客席の一部では、雅やかな庭を眺めながらお茶を飲んだりお菓子が味わえる。私は初代の妻が茶室として使用していたという入口に近い個室を希望し、夏らしいオレンジゼリーを頬張った。

 

 持ち帰ってきたロシアクッキーの包みを開くときは、かしこまってうやうやしく。真っ赤なリボンは捨てられず、くまのぬいぐるみの首にかけた。

 

 

寺町二条の「村上開新堂」。


入口のガラス枠もお菓子の包みのよう。


 

売り場のタイル。


5月~9月限定の「オレンジゼリー」。


アーチ窓の個室でお茶を。


「ロシアクッキー」のセット。


ロシアクッキーのリボンをかけたクマ。

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