産地とつながる食のイベント【東京ハーヴェスト2019】会場レポート

2019年は「日本各地の”旨い”を味わい、生産者の”凄い”を体験する」をコンセプトに開催された東京ハーヴェスト2019。駒沢オリンピック公園中央広場の会場をレポートします。

2019年9月21日(土)・22日(日)に駒沢オリンピック公園中央広場で開催された東京ハーヴェスト2019。開催7回目を迎える今年は、およそ45,000人が来場し会場限定メニューや新鮮野菜の販売、ワークショップなどを楽しみました。

2019年は「日本各地の”旨い”を味わい、生産者の”凄い”を体験する」がコンセプト。過去最大の参加となる約40人の農家・漁師・酪農家など様々な食のつくり手が集い、その素晴らしさを伝えました。

私たちの毎日のを食を支え、届けているつくり手への感謝と尊敬の気持ちを伝える大収穫祭の会場をレポートします。

駒沢オリンピック公園に約40人の生産者が集合

昨年2018年にも2万人以上が来場した東京ハーヴェスト。年を追うごとに来場者数が増加していることもあって、今年から会場を駒沢オリンピック公園に移して開催しました。
会場が広いのでゆっくりと見てまわることができます。

旬の野菜をはじめとする秋の味覚や、海の幸、地域性豊かな食材、そしてここでしか食べられない特別なメニューなど、収穫の秋・食欲の秋に相応しいグルメが揃っています。

泥つきは獲れたて・産地直送の証拠!

今年はスペシャルショーとして、通常は農家さんしか知らない「ネギの皮むき機」が会場に登場し、畑で収穫した泥つきのネギの外皮を真っ白にむいていくパフォーマンスも行われました。

目にも留まらぬ速さなのにネギを傷めないよう空気の力で優しくむいていく機械作業は、都会では滅多に見られない貴重な体験!

ほかにも、鮮度を保ったまま魚のうま味を引き出す匠にしかできない技である「神経締め」の実演など、東京ハーヴェストならではのパフォーマンスが2日間に渡って披露されました。

魚の死後硬直を遅くすることでうま味が増し、味が激変するという神経締め。この技が使えるのは国内でも限られた人だけ。魚だけでなくタコなどにも行います。神経締めをした魚は一級の料亭やレストランで提供しているほか、一部デパートでも販売しているそう。
どんな味なのか一度は食べてみたい!

食べて応援!台風15号被害の千葉野菜でミネストローネ

今年は台風被害が立て続いていますが、台風15号で大きな被害を受けた千葉県の野菜でミネストローネのチャリティー販売も実施されました。

このミネストローネのレシピは、東京・恵比寿にある「Bistro D’arbre(ビストロ ダルブル)」の無藤 哲弥シェフが監修。具材にはメークイン、ピーマン、ミニとうがん、ごぼう、生落花生など台風によって販売できなくなってしまった千葉県産の野菜がたっぷり。

レシピを考えるにあたり、届いた野菜は一通りかじって味を確かめたという無藤シェフ。
生落花生やごぼうの入ったミネストローネを初めて食べましたが、野菜のだしがしっかり抽出されていて、素材の甘さも際立つ絶品スープでした。

「被害が大きいほど、長く続く後方支援の要は”食”」と、無藤シェフ。
「現地に行って手伝うことももちろん素晴らしいこと。けれど、地元のいい食材で自分がつくる”料理”というフィルターを通して、多くの人に”伝える”のが自分なりのボランティア」と話してくださいました。

ボランティアの形は一つではなく、食べることが生産者を助け、支援につながっているということを、無藤シェフの言葉で気づいたように思います。

Bistro D’arbre(ビストロ ダルブル)詳細はこちらから

糖度ギネス級の桃。そのまま食べてもジュースも絶品!

ステビア農法でつくるギネス級の糖度の桃。積んでも果肉が潰れないくらいにしっかりとしています。しかも1玉のサイズも大きい!

この桃を惜しみなく使ってつくる「とろもも」は、まるで桃を飲んでいるかのようなジューシーなジュース。もちろん果糖は一切なし。桃の甘さだけでつくられた濃厚で芳醇な贅沢なジュースです。ジャムのような濃度があるので、炭酸やジンジャーエールで割ったり、ヨーグルトにかけて食べても美味!
筆者は会場でジンジャーエール割りをいただきましたが、あまりのおいしさに一瞬飲む手が止まりました。(おいしすぎて写真を撮るのを忘れるほどに…)

【ギネス級糖度の桃】古山果樹園HPはこちらから

香りも良いフルーツほおずきは独特の味わい

「ほおずき」と聞くと観賞用の植物を思い浮かべる人も多いかと思いますが、実は食用のほおずきもあるのです。ヨーロッパなどでは古くから食用として栽培されていますが、日本での栽培は珍しいです!

そのまま食べることができるフルーツほおずき「ほおずきんちゃん」ですが、旬の時期(8月下旬〜10月)以外でもジャムやコンポート、お茶で年間通して楽しめます。ほおずきはビタミン、食物繊維が豊富で、肝脂肪、コレステロールを下げる効果も期待できよう。
これぞ知らなければ出会えない食の素材!

中には白い小さな種が入っています。甘くてトロピカルな味わい。歯ごたえの良い小さなアプリコットのようなかんじでしょうか。何かに似ているようで似ていない、知っているようで知らない、独特のおいしさです。

【フルーツほおずき】早野ファームHPはこちらから

国内生産量わずか1%未満!希少な和牛・短角牛

和牛と言えばやはり黒毛和牛が有名ですが、ほかにも「日本短角種」「褐毛和種」「無角和種」と4種類の和牛がいます。そのうち、東北地方や北海道を中心に飼育されている「日本短角種(短角牛)」は、国内和牛流通において年間1%程のシェアしかない希少種。

”幻”と称されることもある和牛を、会場では串焼きに。
サシ(脂肪)の多い和牛と比べて、赤身肉の短角牛はしっかりとした噛みごたえのあるタンパクでヘルシーな味わい。噛めば噛むほど肉の味が伝わってきます。

スーパーなどでは流通していないため、食べられるのは限られた場所でのみ。
都内で短角牛が食べられるレストランもありますが、次回ぜひ東京ハーヴェストで生産者の声を聞きながら味わってほしいです。

【山形村短角牛】ポータルサイトはこちらから

三陸の海藻を使ったワッフルで新しい食の可能性を考える

「三陸×ふくしまプライド食堂」のキッチンカー前には巨大ワカメの実物展示がありました。
身長161cmの筆者を優に超える背丈のワカメ…こんなサイズ感の海藻が海の中で生息しているんだなぁと不思議な気持ちでした。

こちらのキッチンカーには「樹上完熟トマトのレッドアイ」など福島の地元の食材を使った限定メニューや、三陸の海幸を活用したオリジナルメニューが並んでいました。

どんな味なのか気になった「海藻ワッフル」。画像を見ての通り、海藻の入ったワッフルにミルクアイスがのったデザートです。ジャージー牛乳と一緒にいただいてみましょう。

海藻の塩っけがアイスの甘さと混ざると”塩スイーツ”のような印象。みたらし風の甘じょっぱいソースがアクセントになっています。沖縄銘菓のちんすこうで「塩ちんすこう味」が好きな人にはおすすめの味。

なかなか前衛的なスイーツと思われるかもしれませんが、以前PeLuLuで紹介した「間伐材を使った杉のケーキ」の開発者で「Mr. CHEESECAKE」も手がけるシェフ・田村浩二さんも、料理人として一次産業の現場に携わる中では、海の幸を最大限に活用したメニューづくりにも取り組んでいるとお話されていました。

たとえば、わかめや昆布の茎など本来廃棄されてしまう海の恵みを料理として蘇らせるなど、「食べられるのに食べていない素材」を”食材”として見直してみることは、生産者や料理人の視点としてだけでなく地球にとって人間にとって今後必要になってくる食の考え方なのかもしれません。

海藻ワッフルは、これからの新しい食の在り方を発見させてくれるメニューでした。

透き通って美しい。大吟醸のトマトジュース

一見違う素材のジュースが並んでいるように見えますが、実はどちらもトマトジュース。右は見慣れたトマトジュースですが、左はまるでりんごジュースのような色をしています。

ファーム大友の「麗夏」を使ったジュースは、トマトを絞ったときの上澄みだけを集めた、まさに大吟醸のトマトジュースづくりも。トマト100kgだと吟醸のトマトジュースが80本できるところ、大吟醸は10本程度しかできないのだとか。

”王様トマト”と呼ばれる「麗夏」のうま味と栄養がぎゅっと凝縮された大吟醸のジュース。生産量が限られている貴重品だけあって、ハーヴェストでも1日目で売り切れに!

【会津トマト】つくり手の詳細はこちらから

パッケージもかわいい、からだに優しいたまご

食べ終わった後も残しておきたくなるかわいいパッケージの「相馬ミルキーエッグ」。
「家族にも安心して食べてもらえる卵を自分の手でつくりたい」という想いのもと、こだわりぬいた環境で鶏を育てている養鶏場です。

目を引くアロハと軽快な話し口調でブースを盛り上げるのは、大野村農園の代表 菊池 将兵さん。

菊池さんが警鐘を鳴らすのは、食の安全について。

遺伝子組み替えの食品はその量が5%未満であれば、「遺伝子組み換えでない」と表示して良いことになっています。そのため、鶏のエサに輸入トウモロコシを使用していることが多い大規模な養鶏場の卵は、安全だと思って口にしていても、実は薬や遺伝子組み換え食品を含んでいるかもしれないというのが現状だと明示しています。

大野村農園では鶏に納豆、玄米、海藻、3時間煮込んだ魚のアラを発酵させた独自のエサを与えているため、自然の中でストレスなく育った健康的な鶏の卵は、濃厚でコクのある味わいに。

「相馬ミルキーエッグ」を食べてみました!
卵を割ってみると、スーパーで買う卵より黄身の色が薄いことがわかります。

なんとなく黄身の色は濃い方がいいように感じてしまいがちですが、本来黄身の色はレモンイエロー。黄身の色は鶏が食べているエサに含まれる色素が影響するため、エサに何かが混ざっていると当然その色は濃くなります。納豆、玄米、海藻など日本古来の食生活のようなエサを食べている鶏では、黄身の色はこのように薄いのです。

いつも何気なく食べている卵ですが、本当においしいものは黄身が甘くてコクがあります。濃厚だからそのまま食べてもおいしいし、半熟にしても最高ですよ。卵かけごはんや半熟のゆで卵で味わってほしいおいしさです。

【相馬ミルキーエッグ】大野村農園HPはこちらから

循環農業を実現した木更津の「KURKKU FIELDS」

人・農・食・アートがテーマの施設サステナブル ファーム&パーク「KURKKU FIELDS」でも、鶏には米、麦、だしがら、おから、ごま油の絞りかす、チーズなどを独自に配合したエサを与えているとお話されていました。

エサの材料は全て千葉県産というこだわりの鶏の卵は、「KURKKU FIELDS」のパーク内でも味わうことができるそう。
千葉県木更津にある施設のため台風15号の影響で夏野菜が全滅し、ビニールハウスや鶏舎も損壊するなど被害は大きいとのことですが、2019年11月2日(土)にはオープンできるようです!

オーガニックファーム、養鶏場、チーズ工場などの農場だけでなく、獲れたて食材で味わうダイニングにベーカリー、タイニーハウスでの宿泊、草間彌生さんのアート作品など泊まって遊べる施設。ビオトープや大自然を体感しに出かけてみてはいかがでしょうか?

【KURKKU FIELDS】の詳細はこちらから
※2019年10月27日にはオープンイベントも開催予定。

アスパラガスにドライフルーツも。福島の”おいしい”をいただく

収穫は年に2回、春と夏秋。みずみずしくミネラルもたっぷり詰まったアスパラガスを販売していたのは、株式会社エガワコントラクターの代表 江川 正道さん。
「自分たちが食べたいと思えるおいしい野菜をつくること」を原点として喜多方野菜を育てる福島県の農家さんです。

この日は「少し細いけどおいしいんですよ!」と生産者お墨付きの、みどり色が美しい元気なアスパラガスがブースに並んでいました。

そして、同じブースでドライフルーツを販売していた「Berry’s Garden(ベリーズガーデン)」の代表 景井 愛美(かげい まなみ)さん。

家業が果樹園の旦那様との結婚をきっかけに農業の世界へ足を踏み出し、現在では日常のちょっとした隙間に「愛、実る時間」を持ってほしいと「Berry’s Garden」を立ち上げたそう。

未経験だからこその苦労や発見、母として一人の女性として、農業という仕事をもっとポジティブなイメージに変えたいと、その働き方・生き方を通して伝えるため日々作物と向き合っている姿がとても素敵でした。

試食させてもらったドライオレンジは嫌な苦味がなく、うま味の濃いフルーツを食べているのがわかります。これまでちょっと苦手だったドライオレンジへの見方が一瞬で変わりました。

チーム・COOL AGRI  で記念撮影!おいしい時間をありがとうございました!

【喜多方野菜】エガワコントラクターHPはこちらから

【ドライフルーツ】Berry’s Garden HPはこちらから

農家直伝!アスパラガスを味わうレシピ

喜多方野菜アスパラガスを食べてみます!
おいしい食べ方をいくつかうかがいましたが、まずは素材そのものの味を感じるために「塩とオリーブオイルで食べてみてください!」とのこと。

シャキシャキした小気味良い歯ごたえで、アスパラガスの色と同じ鮮やかな緑の香りが口いっぱいに広がります。穂先は甘く、根元までみずみずしいので何本でも食べられます。

もう少し細かく切ってサラダに入れたり、塩味強めのベーコンと一緒にオイル系のパスタへ和えるのも良さそうです。

そして定番の、アスパラの肉巻き。せっかくなので「東北食べる通信」風に、大胆巻いてみました。これだけでお皿の上が華やぎます。

シンプルに塩・胡椒、醤油と味醂で甘辛和風…味付けに迷うところですが、今回はマヨネーズにニンニクとレモン汁を少々、粉チーズを追加し、お好みでブラックペッパーを合わせる即席シーザーサラダ風のソースでいただきます。スパイシーにしたかったので炒めて香りを出したクミンも。

アスパラガスのおいしい食べ方はほかにも、炊き込みごはんにしたり油揚げを入れてお味噌汁にしても良いそう!和の食べ方も試してみたくなりますね。

第8回東京ハーヴェスト開催決定!

次回で第8回となる東京ハーヴェストは2020年5月23日(土)24日(日)に開催が予定されています。場所は同じく駒沢オリンピック公園。

ぜひ各地の「旨い!」を探しに足を運んでみてください!

東京ハーヴェスト2019
http://tokyoharvest.com/
会場:駒沢オリンピック公園 中央広場
〒154-0013 東京都世田谷区駒沢公園1-1

text : MIzuki Igarashi