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【開催中】『ルーヴル美術館展 肖像芸術ー人は人をどう表現してきたか』ー肖像芸術から見えてくるものー【MiLuLu】

現在、国立新美術館にて開催中の『ルーヴル美術館展 肖像芸術ー人は人をどう表現してきたか』。3000年以上も前の古代エジプトの棺用マスク、古代ローマの皇帝やルイ14世、ナポレオンなどの古今の君主像、そして華麗な女性や愛らしい子供達の肖像まで、ルーヴル美術館が誇る数々の名品が集結した本展覧会をご紹介します。

人の似姿を描く肖像芸術

人の似姿を捉えた肖像芸術は、西洋社会において最も広く普及した、最も長い歴史を持っている、主要な芸術ジャンルの一つです。しかし現在では、スマートフォンの高性能カメラでセルフィーを取ることが当たり前となり、私たちにとって今や最も身近な芸術といえるかもしれません。

本展覧会では、その肖像芸術の起源に迫るべく…3000年以上も前の古代エジプトのマスクや古代メソポタミアの彫刻から19世紀ヨーロッパの絵画・彫刻まで、広範囲にわたる時代と地域の豊かなコレクションを対象とし、肖像芸術が担ってきた社会的役割や表現上の特質を浮き彫りにしています。

そして、ルーヴル美術館の全8部門(古代オリエント美術、古代エジプト芸術、古代ギリシャ・エトルリア・ローマ美術、イスラム美術、絵画、彫刻美術工芸品、素描・版画)から代表する肖像の傑作を堪能できます。

 

 

肖像芸術の役割に迫る

 

肖像芸術が時代が経つにつれて、役割を豊かなものにしてきた事実を踏まえて、本展覧会ではゆるやかに時代順に展開しながら、テーマによる分類に基づきながら3つの章に分けています。

第1章では、記憶・記念するという肖像の最も古い役割に焦点を当て、重要な人物の死と結びつき、社会や神々を個人の信仰心の証言者にしようとする願望が関連づけられ、故人の肖像、奉納像、祈祷像で構成されています。
例えば、記憶という肖像の機能が発揮された主要分野である葬礼美術では、故人や親族の記憶を永久的に残すため、肖像彫刻を施した墓碑が存続しています。

第2章では肖像芸術が最も古くから担ってきた一つの役割である権力の顕示にフォーカスしています。王や皇帝など最高権力を振るった君主にとって、自らの似姿である肖像は権威を広く知らしめる最も有効な手段でした。絶対権力を握った君主などの作品を通して、肖像芸術が担った政治的役割や意味を考察し、権力者の肖像表現を浮かび上がらせています。
この章で特に注目して欲しいのは、「吾輩の辞書に不可能の文字はない」という名言を残したナポレオンの作品。素早いタッチで生き生きと描写した若き将軍時代にはじまり、フランス皇帝に即位した戴冠式の正装の姿や、幽閉先であるセントヘレナ島で亡くなったデスマスクなど、彼の人生に想いを馳せることができます。

第3章では古代より培われてきた上流階級の肖像表現に含まれるルールを踏襲しつつ、その一方では各時代・地域・社会に特有の流行を反映しながら多様に展開を遂げていった肖像芸術を考察しています。男性、女性、子供と家族など、肖像のモデルの裾野が広がり、衣服や装飾品からモデルの人柄や個性が浮き彫りになっています。
例えば何処から見ても目を合わせることができない「美しきナー二
」が着用しているドレスは、当時ヴェネツィアで流行していたスタイルで、未婚の女性は着用できませんでした。また、手を胸に当てる仕草は、伴侶への忠実さを表しているのだそう。このように肖像画から様々なことが読み取れます。

 

多義性を帯びた奇想

 

ただ1人の人物に似せることを特徴とする「肖像」は、多義性とは相容れないように思われます。しかし、ルネッサンスから20世紀のシュルレアリスムまで、多義性を帯びた奇想が華々しく展開された芸術ジャンルは肖像でした。

肖像表現を特定するルールがどのように生まれ、地理的、歴史的、社会的な広がりのなかで、どのように変容的に永らえてきたのか理解することができる一方で、注文主からの圧力があるなかでも、芸術家の自由な創造力から刷新してきたのかを見て取れることもできるでしょう。

本展覧会では高名な傑作と、貴重ですがあまり認知されていない作品、これを機に修復された作品も入り混じり、およそ110点が一堂に会します。これまでに例を見ない大規模な肖像展を通して、鑑賞者の視点によって様々なイメージへと変容していく楽しさを味わえる、「肖像芸術」の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。

【情報】

 

『ルーヴル美術館展 肖像芸術ー人は人をどう表現してきたか』


会期:2018年5月30日(水)~9月3日(月)

場所:国立新美術館(東京・六本木)企画展示室1E
休館:毎週火曜日(ただし8/14は開館)
時間:10:00~18:00

   金・土曜日は、5・6月は20:00まで、7・8・9月は21:00まで 

   *入場は閉館の30分前まで

 

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