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益子春の陶器市レポート【作家編】 陶器市で訪ねたい、おすすめ作家リスト

前回はおすすめのショップを紹介した益子春の陶器市レポート。今回は作家編ということで、陶器市で出店(展示も含む)している益子の陶芸家を中心にお届けします。まずはパート1からどうぞ。(益子出身ライターの主観と独断で選ばせていただいています)

阿久津忠男さんの瑠璃釉面取そば猪口

 

 

 

吸い込まれそうなほど美しい瑠璃に魅せられて

/阿久津忠男さん

 

1975年に益子に築窯し、約40年に渡り代表作である「瑠璃」シリーズを創り続けている阿久津忠男さん。

初めてその深い藍色を見たとき、あまりの美しさに引き込まれ、気づいたら手に取ってじっと眺めていました。それが忠男さんの作品との出会いで、完全に一目惚れでした。

 

独自に編み出した瑠璃釉から生まれるブルーは、深海のような、真夜中の空のような……言葉で表現するのが難しいほど奥行きがあり艶めいています。

筆者もすっかり虜になり作品をいくつも所有していますが、使い込むほどに表情が変わって味わいが増していくのも魅力です。それはインディゴデニムを穿き込んだときの経年変化にも通じるものがあります。

それだけでなく、どんな料理も引き立ててくれて、食卓が“きちんと”見えるのです。

 

春の陶器市では息子さんである雅土さんとの展示が「もえぎ」で開催されていて、特にリム皿は大人気で完売必至なので、早いうちに訪れるのがおすすめです。

 

 

 

 

 

 

釉薬の美しさを主役にした、丁寧な作品づくり

/阿久津雅土さん 

 

前出の阿久津忠男さんの息子さんである阿久津雅土さんも、陶器市の初日にチェックしておきたい作家のひとりです。

1999年に窯業指導所伝習生を修了した翌年に、釉薬科研究生も修了したとあって、釉薬への強い探究心、こだわりを感じます。

 

ずらりと並んだ作品群の中で、まず目に飛び込んでくるのが飴釉の作品です。「茶色」の一言では言い表すことのできない、美しいグラデーションと深い色味が印象的。

ほかにも白とブルーのグラデーションが涼しげな呉須シリーズや、白磁、伝統的な柿釉など、益子焼らしい素朴さがありながらも、現代の暮らしになじむ洗練さも漂います。

形はシンプルで使いやすいものが多く、それだけに色味と質感の美しさが際立ち、妥協のない丁寧な仕事ぶりがうかがえます。

 

春の陶器市では、親子で合わせて約1500点もの作品が並ぶという圧巻の展示。ぜひ実際に目で見て、触れてみて、その素晴らしさを感じてください。

(ちなみに秋の陶器市では茶屋雨巻での展示を開催予定です。)

 

 

 

 

 

 

暮らしに、食卓に寄り添う、やさしいうつわ

/田尾明子さん

 

筆者のうつわ所有数で言ったらナンバー1かもしれない、田尾明子さん。

1985年に愛媛県砥部で修行した後、92年に益子で修行、96年に築窯、独立されました。

 

田尾さんの作品は、手が込んでいるのに、素朴であたたかな佇まいで、益子焼らしい包容力があると言うのでしょうか。そこに女性作家ならではの繊細さも持ち合わせていると感じます。

 

織部や藁灰釉、粉引など、確かな知識と技術なくして生み出せないであろう多彩な表情の作品が並び、どれも色味と質感が美しく、まず目で見て楽しめます。

それでいて手にするとなじみが良く、軽すぎず重すぎず、ちょうど良いのです。

もちろん料理も映え、使い勝手が良く日々の暮らしに溶け込みます。

それに加え、良心的な価格設定にも驚かされます。素人の筆者にもわかるほどコストパフォーマンスが高く、そういったところにも毎度感動し、つい手に取りたくなってしまうのです。

 

陶器市では「古窯いわした広場」で出店しています。

 

 

 

 

 

 

成井恒雄さんの意志を継ぐ、素朴で無骨な作品たち

/成井窯

 

2012年に亡くなられた陶芸家・成井恒雄さんは、多くの陶芸家に影響を与えた方で、生前何人もの弟子を育てたことでも知られています。

筆者が益子で暮らしていた子ども時代から、我が家には当たり前のように成井さんのうつわがありました。

 

とても大らかで、あたたかく、自由で、多くの人から慕われていた成井さん。彼が残してきた作品にもその人柄が表れているように感じます。

そんな成井恒雄さんの意志と作風を、ご家族3人で受け継いでいるのが「成井窯」です。

特徴のひとつである蹴轆轤と、生前から使われてきた登り窯を継承しながら作られる作品は、益子焼らしい無骨で素朴な佇まいと、やわらかな曲線、ぬくもりを感じる心地よい重みが魅力です。

そして「普段使いするものだからこそ、手に取りやすい適正価格で提供する」ことを当たり前のように貫くその姿勢にも、寛大な成井イズムが宿っています。

 

陶器市ではメインストリートから少し離れた「陶芸村」で出店しています。

 

 

 

 

 

 

ダイナミックでアーティスティック、詩的な世界観

/能登実登利さん

 

 

前出の成井恒雄さんに1973年に師事、その3年後に独立・築窯された能登実登利さん。

その作風は、師匠である成井さんに通じるものがあるように感じます。

 

能登さんの作品は、自由で大胆。民藝というよりも、アートに触れているような感覚があります。

独自の発想を落とし込み昇華させたダイナミックな作品は、歪みや雑味を含んだトータルの存在感に圧倒されます。

もちろんそこには豊かな感性と熟練の職人技術が集約されているのは言うまでもありません。

かと言って使いにくさは無く、暮らしに寄り添ってくれる懐の深さのようなものも感じます。

 

個人的には「月」や「空」、「風」、「雨」などの漢字が描かれたシリーズがお気に入り。どこかロマンティックで詩的な世界観に浸れます。

 

陶器市では「じゃりん小径」で出店しています。

 

 

 

 

 

以上、益子陶器市でおすすめしたい【作家編】パート1でした。

今回ご紹介した作家さんたちの作品は、どれも手に取りやすいリアルプライスなのが魅力のひとつでもあります。

そういったところも益子焼が人々の生活になじみ、長く愛される理由なのだと思います。

パート2では陶芸家だけでなく、ガラス作家や木工作家もご紹介します。お楽しみに。

 

 

text : Yu Konisho

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