昔馴染みの友人たちが集まれば話題に上るのが、「もし何歳にでも戻れるとしたらいつがいいか?」。まだ何者でもなかった10代に戻りたい、そこからやり直したいと思う人は多いものだ。でもよくよく思い出してみてほしい、10代の世界だって大変だった。恋人や友だち、家族との関係はまだまだ不器用で思い通りにいかないことだらけ、現実は少女漫画には程遠い。
映画『スウィート17モンスター』では、あの頃特有の痛みに笑ったり泣いたり、共感がいっぱい。
親友が天敵の兄と恋をした? 人生最大のピンチ
ヘイリー・スタインフェルド演じる主人公ネイディーンは17歳の高校生。最大の理解者だった父を幼い頃に亡くしてから、家庭でも学校でも居場所を見つけられずにいた。思うようにいかない日常に空回りして教師のブルーナー(ウディ・ハレルソン)や母親を困らせてばかり。唯一理解してくれる親友クリスタが自分とは対照的にイケメンで人気者の兄と付き合いだし、裏切られたように感じたネイディーンはますますこじらせていく。
誰だって何かに悩んだり、秘密を抱えている
大人になれば些細なことだって、10代にとっては大事件。ネイディーンだけではなく、完璧に見えるイケメン兄だって葛藤を抱えている。もう戻りたくはないなと思うほど面倒な痛みだけど、その壁を乗り越えていく過程はもう経験できないからこそきらきらと輝いても見えた。
4年の歳月を費やした、10代の声が詰まったストーリー
昨年の賞レースではヘイリーのゴールデングローブ賞ノミネートをはじめ評価が高く、実力はお墨付きの本作。徹底的なリサーチによる脚本は、今のアメリカの高校生のリアリティが再現されていて新鮮。甘いだけじゃ物足りない人、エッジが効いていてオススメです。
『スウィート17モンスター』
4/22(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか公開
配給:カルチャヴィル
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text:Momoko Yokomizo