魅了されるモノクローム
©Tomoo Gokita / courtesy of Taka Ishii Gallery
キャンバスに描かれたモノクロームの作品郡は、その大きなサイズに圧倒されるだけでなく、濃淡のグラデーションに引き寄せられます。モノクロームだけの表現にも関わらず、まるで豊かな色彩で描かれているかのように、肉体の弾力などの質感が伝わってくる、妖艶なポーズを取っている絵画の中の女性達。そんな彼女達の髪型やクラシカルなファッションから、古き良きアメリカを彷彿とさせます。また、描かれている人物に注目してみると、特に旧作は顔がハッキリと描かれていないものが多く、瞳が描かれていないのに視線を感じたり、現代の風刺画のようにも読み取れたり、想像が掻き立てられるのも魅力の一つです。
本展覧会の見どころ
©Tomoo Gokita / courtesy of Taka Ishii Gallery
本展覧会では新作の絵画をはじめ、ドローイングを中心とし、2000年以降の作品を36点を展示しています。両手を挙げて微笑みかける艶かしい女性を描いた「Come Play with Me」は、本展覧会のためのメインビジュアルに使用されている新作。また、アクリルグワッシュと墨を使ったチャレンジ精神溢れるドローイングも必見です!800点以上の大小さまざまなドローイングからなる大規模なインスタレーション「Untitle」は、一点、一点、作品を鑑賞しながら贅沢な時間に浸ってみてほしいです。その他にも、五木田さんのプロレス好きがわかりすぎる、愛するプロレスラーの似顔絵をレコードジャケットのフォーマットで描いた、225点にも及ぶ「Gokita Records」が展示されています。
多彩な表現の可能性に触れる
©Tomoo Gokita / courtesy of Taka Ishii Gallery
イラストレーションから出発した五木田さんは、60〜70年代のアメリカやサブカルチャーに影響を受け、雑誌や写真にインスピレーションを得た作品を発表してきました。計算されたグラデーションや陰影が生み出すエレガントでファッショナブルな魅力、シンプルな描線とデフォルメされた歪な造形のコントラストが醸し出すユーモアやノスタルジー、具象と抽象の間を自由に行き来するイメージの両義性など、多彩な表現の可能性を発散しています。
是非、五木田智央の魅力を存分に味わえる本展覧会に足を運んでみてください。
【情報】
期間:2018年4月14日(土) – 6月24日(日)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
開館時間:11:00-19:00 (金・土は11:00-20:00/いずれも最終入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(但し4月30日は開館)