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名匠ハネケ監督が描く、SNS時代の家族ドラマは『ハッピーエンド』?

ミヒャエル・ハネケ監督が描くフランスムービーの新作『ハッピーエンド』をご紹介。名優、ジャン=ルイ・トランティニャンやイザベル・ユペールほか豪華共演で、愛と死を衝撃的に描いた家族ドラマ。SNS時代のディスコミュニケーションの闇が、祖父と孫娘を惹きつける。死にとりつかれた少女を演じるファンティーヌ・アルドゥアンの美しさにも注目です!

 

フランスの大邸宅に三世代で暮らすロラン家


 

ミヒャエル・ハネケ監督の5年ぶりとなる新作『ハッピーエンド』が、3月3日より公開中だ。前作『愛、アムール』で、老夫婦の愛と死に目を向けたハネケ監督。今作でも、『愛、アムール』に出演したジャン=ルイ・トランティニャンとイザベル・ユペールを起用し、フランスの大邸宅に三世代で暮らす、崩壊寸前の家族を描いている。

 

 

ハネケ作品の常連俳優、イザベル・ユペールが出演


 

フランス北部の町・カレーに住むブルジョワジーのロラン家。建築業を営んでいた家⻑のジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)は、高齢のために仕事を引退。今は娘のアンヌ(イザベル・ユペール)が家業を継ぎ、辣腕を振るっている。アンヌの息⼦・ピエールも家業を手伝っているが、精神的に不安定でトラブル続き。アンヌの弟・トマは医者として働き、再婚した妻と幼い息子とともに、同じくロラン家で暮らしていた。そこへ、トマと前妻の間に生まれた娘・エヴがやって来ることになり……。

 

映画は冒頭で、スマートフォン画面上の動画をうつし出す。その画面上に、撮影者による短いコメントが矢継ぎ早に打ち込まれていく。何気ない日常を切り取った映像が、動画共有アプリの投稿によって垂れ流される様子は、遠くの人と瞬時につながりながらも、身近な人と親密につながれない現代人の孤独を表しているようにも見えてくる。

 

 

闇を抱えた少女を演じるのは、ハネケ監督に抜擢されたファンティーヌ・アルドゥアン


 

 もうすぐ13歳になる少女・エヴは、両親の離婚のため父と離れて暮らしていた。しかし、ある事件をきっかけに、父親の家族が暮らす豪邸に身を寄せることに。彼女の新たな居場所となったロラン家は、使用人家族を敷地内に住まわせるほど裕福だが、家庭内がうまくいっているとはいえない。表向きは互いに気遣い、愛情をもって接しているように振る舞いながらも、家族それぞれが抱える心の痛みや苦悩には、深く立ち入ろうとしない。

 

 

一家が迎える結末は、果たしてハッピーエンドなのか

ある秘密を隠しながら、周囲に心を閉ざす少女・エヴ。そんな彼女の闇に気付くのは、祖父のジョルジュだけだ。「死」に興味を持つ思春期の少女と、「死」にさしかかった老境の祖父が静かに対話するとき、ふたりはかすかに心を通わせる。

 

映画の終盤、閉ざされた大邸宅を出たロラン一家は、広々と空を見渡せる海沿いのレストランに集まる。その後、一家が迎える結末は、果たしてハッピーエンドなのか、そうでないのか。これまでのハネケ監督作品と同様、登場人物の心情や境遇をあまり多く説明しない本作は、観る者に解釈を委ねている部分が多い。だからこそ想像力を膨らませながら、ぜひ劇場でその結末を見届けてほしい。

 

 


 

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■『ハッピーエンド』
2018年3月3日(土)より、角川シネマ有楽町ほか全国順次公開中

監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ 
出演:イザベル・ユペール、ジャン=ルイ・トランティニャン、マチュー・カソヴィッツ、ファンティーヌ・アルドゥアン ほか

提供:KADOKAWA、ロングライド
配給:ロングライド

 

http://longride.jp/happyend/

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