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【開催中】ルドンの描いた植物に焦点を当てる『ルドン―秘密の花園』展 レポート【MiLuLu】

【MiLuLu】では巷で話題の映画作品や美術展をご紹介!現在、三菱一号館美術館では『ルドン―秘密の花園』展を開催しています。印象派の画家たちと同世代でありながらも、幻想的な内面世界に目を向けた画家、オディロン・ルドン。ルドンが手がけた植物をモティーフとする作品に焦点をあてた、世界的に見ても前例のない本展覧会をレポートします。

幻想的な内面世界に目を向けた、オディロン・ルドン


 

オディロン・ルドン(1840-1916年)は、印象派画家たちと同世代でありながら、印象派全盛期で光り輝く油絵が主流だった時代に、真逆にも幻想的な内面世界に目を向けた、昏く穏やかな異形の世界を描いています。

本展覧会では、世界有数のルドンコレクションとして名高い岐阜県美術館をはじめとする国内美術館や、オルセー美術館やニューヨーク近代美術館[MoMA]などの海外の主要美術館から、植物をモティーフとするルドン作品が来日し、およそ90点により構成される大規模なルドン展となります。
世界中の人の心を魅了して止まない特異な画業を追いながら、日本初公開のオルセー美術館所蔵の15点や、ドムシー城の食堂を飾ったルドンの装飾画など、本展覧会の見どころをご紹介していきます。

 

 

ルドンの“黒”


 

1840年フランス南西部の港町ボルドーに生まれたルドンは、郊外のペイルルバードにあったブドウ園の屋敷に送られ、ここを管理していた親戚の老人に11歳になるまで育てられました。その後、家族はルドンが建築家になることを望みますが、ルドンはパリの国立美術学校の入学試験に失敗。歴史画家ジェロームに師事しますが、師の教育方針と全く合わずに挫折してしまいます。

そして、ロマン主義の作家たちから高く評価されていた放浪の版画家ロドルフ・ブレスダンから、ルドンはエッチングを中心とする銅版画の技法を学びました。ブレスダンはルドンの画業に大きな影響を与え、後にルドンは木炭画や版画の白黒作品を、愛着を込めて「わたしの黒」と呼ぶようになります。

また、少しおどろおどろしい頭部を持つ植物などの作品は、植物学者アルマン・クラヴォーの影響が指摘されています。クラヴォーは若き日のルドンに同時代文学や愛好していたインド哲学など導きました。東洋の仏教を含む幅広い世界にルドンが関心を抱くようになったのはクラヴォーの影響によります。不遇な人生を送ったクラヴォーは1890年に自殺しましたが、ルドンはその死の翌年に80部が発行された石版画集『夢想』を、この年上の友人に捧げました。

 

 

色彩の以降


 

1879年、ルドンが39歳に発行した初版画集『夢のなかで』がキッカケとなり、ルドンは1880年代、世間から「黒」の画家として認知されましたが、油絵による小さな絵画作品を制作しつづけていました。ルドンはこれらの小型の風景画を「作者のためのエチュード」と呼んで発表しなかったため、生前にはほとんど世にでることがありませんでした。
1894年の出品点数140点を超える大個展後は、パステルや油絵の制作比率が高まり、やがて“黒”は姿を消すものの、植物のモティーフは変わることなく描いていました。

水平線あるいは地平線に浮かび上がるような瞑想的な女性を描いた『眼を閉じて』や、洗礼者ヨハネの母エリザベツを聖母マリアが訪問するという伝統的なキリスト教の図像を下敷きにした『神秘的な対話』など、画面に花がちりばめられており、華やかで動きのある色彩が印象的です。

 

 

ドムシー男爵の食堂装飾『グラン・ブーケ』


 

1893年にルドンと面識を持ったドムシー男爵は、城館の大食堂の壁面全体を覆う装飾をルドンに任せます。
計画はネオ・ゴチック様式の食堂の壁面全体を覆う大規模なもので、ルドンは総計で36㎡を下らない巨大な壁面を当初は18分割することを考えていたそうです。一年間の制作期間を経て出来上がった16点の装飾は、ブルゴーニュ地方のヴェズレー近郊にある男爵の城館に設置されました。その後、個人蔵ということもあり、人目に触れることはありませんでしたが、1988年に『グラン・ブーケ』を除く15点がオルセー美術館の所蔵となりました。

今回、三菱美術館に所蔵されている『グラン・ブーケ』とともに、オルセー美術館所蔵の15点が一堂に会す日本初の機会となります。『グラン・ブーケ』は壮麗さという点において際だっており、ドムシー男爵城館の装飾画の中で、そしてルドンの装飾壁画作品全体において、最も重要な作品の一つと言っても過言ではありません。パステルで描かれた作品として類例のない大きさの『グラン・ブーケ』をはじめとするドムシー男爵の食堂装飾は、近代から現代に及ぶ「装飾」芸術の大きな流れの中に位置づけることができます。

 

 

盛り沢山の嬉しい特典


会期中には、三菱一号館美術館内にあるミュージアムカフェ・バー「Café 1894」にて、会期中である展覧会にちなんだランチやデザートが登場します。画家・ルドンの世界観や出品作品をモチーフにしたメニューで、展覧会の余韻を存分に楽しめること間違いなし!

また、毎月第2水曜日の17時以降には女性の入館料が一律1000円となる「アフター5女子割」や、雨の日や雪の日限定でオリジナル付箋がプレゼントされる「雨の日、雪の日、ちょっといいことサービス」。そして、4月6日(金)には開館8周年を迎え、来館者全員にオリジナル付箋プレゼント、一号館広場にて音楽生演奏が実施されます。

初期はリトグラフ、後期はパステル画、その静謐な世界観は一致しているルドンを、90点もの作品により構成している大規模な本展覧会に足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

 

【情報】

『ルドン―秘密の花園』展

会期:2018年2月8日(木)~5月20日(日)
会場:三菱一号館美術館
開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで
     (祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は21:00まで)
休館日:月曜日(但し、4/30、5/14とトークフリーデーの2/26、3/26は開館

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