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『ぼくたちのムッシュ・ラザール』が教える、悲しみを乗り越える方法【お勧めの名映画】

カナダ・モントリオールを舞台に描く学園ドラマ。“担任教師の自殺”に揺れるクラス。代理教師としてやって来たのは、アルジェリア移民の中年男性“ムッシュ・ラザール”。心に傷を負った子どもたちと、同じくつらい過去を乗り越えようとする教師が心を通わせていく。

 今回ご紹介するのは、フィリップ・ファラルドー監督のカナダ映画『ぼくたちのムッシュ・ラザール』です。カナダといえば、難民・移民を積極的に受け入れていることが知られています。2015年にはジャスティン・トルドー首相が就任したことで注目を集め、カナダという国の政策や文化に興味を持ったという人も多いのではないでしょうか。ちなみに、この映画の主人公・ラザールは、アルジェリア移民の男性です。

 

“担任教師の自殺”にショックを受け、心に傷を負った生徒たち。

そこへやって来たアルジェリア移民の代理教師。

 舞台は、カナダ・モントリオールの小学校。ある日突然、“担任教師の自殺”というショッキングな事件を経験し、動揺するクラス。事件後、教師たちは生徒の心のケアと後任探しに追われていた。そんな中、アルジェリア移民の中年男性、バシール・ラザールが代用教員としてやって来る。初めはラザール先生のやり方に戸惑う生徒たちだったが、彼の真摯な姿勢に、やがて心を開いていく。しかし、生徒の悲しみに寄り添う立場であるラザール先生も、ある出来事が原因で心に傷を負っていた。

 

micro_scope inc. ©2011 Tous droits reserves

 

 “担任教師の自殺”という重い出来事から発展するドラマを、淡々と丁寧に描いた本作。クラスには、ひときわ大人びた生徒や、自殺の原因が自分にあるのではないかと悩む生徒、ラザール先生と同じように移民としてやって来た生徒など、さまざまな子どもたちがいる。監督はその表情や仕草をつぶさに捉えながら、生徒ひとりひとりの心情を明らかにしていく。大事な人の死、教育現場の心のケア、移民問題など、多くのテーマを内包している作品だが、中心に描かれているのは、つらい出来事に直面した人間がどうにか立ち直ろうとする姿である。ラザール先生と子どもたちはどうやって悲しみを乗り越え、心の傷から立ち直っていくのか。そんなポイントに注目しながら、内容を少しご紹介したい。

 

悲しみを乗り越える方法①「自分の気持ちに素直になること」

 教科書的なことを言うならば、教師は生徒全員に対して公平であるべきだろう。しかし、ラザール先生は少し違う。もちろんみんなに対して優しいのだが、内心では、ひいきにしている生徒がいる。この生徒とのやり取りはラザール先生にとって心の支えになっていて、故郷のアルジェリアについて聞かれ、思わず微笑む姿は何ともチャーミングだ。そんな彼の人間らしさと真摯な姿勢が、生徒たちの心を開いていく。また、本作では昔のような熱血指導で立ち向かうことのできない教師側の苦悩も描かれている。「心のケアはカウンセラーに任せるべき」「教室で“死”の話題を取り上げるのはNG」などと制限され、生徒の心に踏み込めない教師たちのジレンマは、現代の学園ドラマならでは。そんな中で、時代遅れなやり方ながらも、生徒にしっかり向き合おうとするラザール先生の存在は異色である。

 

micro_scope inc. ©2011 Tous droits reserves

 

悲しみを乗り越える方法②「感情を爆発させること」

 担任教師の自殺に動揺する子どもたちは、心の傷をなかなか癒せずにいた。デリケートな問題ゆえに学校側は心のケアを専門家に任せ、教師がその件に触れるのを避けようとする。しかし、そのせいで子どもたちは感情を抑えたまま、気持ちの行き場を失ってしまう。そんなある日、ひとりの生徒の作文をきっかけに、子どもたちは教室で激しい感情をぶつけ合うことに…。子どもたちだけでなく、ラザール先生もまた悲しい現実に直面している。アルジェリアから難民としてカナダにやって来たラザール先生は、そのことを周囲に隠している。そして、愛する家族のことも…。劇中、ラザールが家族について語るのは、移民局から難民認定審査を受ける法廷の場だけである。ラストに向けて、ラザールの境遇が明かされるとき、彼は“寓話”の授業を通して、つらく苦しい感情を初めて表現する。つらい気持ちをぐっと我慢してきたからこそ、登場人物たちがそれを表に出すことで立ち直ろうとする展開は、圧倒的で心を打たれる。

 

micro_scope inc. ©2011 Tous droits reserves


悲しみを乗り越える方法③「多様性を受け入れること」

 冒頭でも触れたように、カナダという国の多様性がうかがえるのも、本作の興味深いポイント。劇中のクラスでは、アルジェリアからやって来たラザール先生をはじめ、肌の色や宗教の異なる子どもたちが一緒に机を並べている。結局のところ、学校という場所も、異なる人間同士が集まった社会の縮図。ラザール先生の上司や同僚教師たちも個性豊かだ。彼らは学校という職場で、自己主張しつつも他者を受け入れ、人間関係を築いている。

 

 悲しみを乗り越えて立ち直ろうとする人の姿を、派手過ぎない抑えたトーンで描いた『ぼくたちのムッシュ・ラザール』。かつて誰もが過ごした小学校を舞台に描く普遍的なドラマであり、複雑な人間関係を生き抜く大人たちにおすすめしたい作品だ。


 

micro_scope inc. ©2011 Tous droits reserves

 

 


 

『ぼくたちのムッシュ・ラザール』 


■監督/フィリップ・ファラルドー 
■DVD発売:ニューセレクト/ザジフィルムズ 

■価格¥3,800(税抜) 
micro_scope inc. ©2011 Tous droits reserves

 

 

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