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12/2公開のシネマ!人は糸を編み、糸は人を繋ぐ。『YARN 人生を彩る糸』【新麻記子のMiLuLu -vol.1-】

【新麻記子のMiLuLu】では巷で話題の映画作品や美術展をご紹介! 12月2日(土)よりクラフト・アート・ドキュメンタリー『YARN 人生を彩る糸』が公開されます。北欧アイスランドから届いた、手仕事を愛するすべての人に贈る、YARN(糸)にまつわる本作品をご紹介します。大人カルチャー女子にうってつけの名映画。人生の歩みのように、ひと編みひと編み…人生の豊かさを感じてみてください。

彩り豊かなYARN(糸)が人を繋ぐ

 

祖母と曽祖母から編み物を習ったというティナは、かぎ針編みのニットでゲリラ的に街を彩るヤーン・グラフィティ・アーティスト。家の中におさまっている女性の手しごとを街に引っ張り出し、尖った灰色の街を優しく彩ります。アイスランドを飛び出し、バルセロナでは海の女神に捧げるブイを編み込んで海に流し、キューバでは「人生万歳!」とカラフルなニットを壁に打ちつけています。


ポーランド出身のオレクは表現の自由を求めてアメリカへ。「かぎ針編みは私の言葉であり、これでコミュニケーションをとるの」故郷の人々と一緒に機関車を編み込み、スパイダーマンさながらのパフォーマーが操るニットで彩られた人力車や全身ニットの集団と街を練り歩き、道行く人々を驚かせ、楽しませる独自のスタイルでアートの世界に切り込んでいきます。


白い糸だけで構成された真っ白な舞台で「Knitting Peace」という公演を行うスウェーデンのコンテンポラリーサーカス、サーカス・シルクール。「糸は色んなものの象徴であり、自在に形を変え、人生のメタファーだ」とパフォーマーは語ります。糸の上を歩き、命がけの練習を繰り返すパフォーマーたちの努力に、人生の意味を見出させ、観客に投げかけています。


長年テキスタイルの彫刻を作っていた堀内紀子は心の空洞を感じるようになりました。ある時、作品に子どもたちが飛び乗ったのを見て、「人のために作品を作る」ことを決意します。それ以来、未来を担う子どもたちの想像力を刺激し、子供自らが工夫して遊び、子ども同士が自然と友達になってしまうカラフルなネットの遊具を、世界中で作り続けています。


本作品は、編み物は手芸にとどまらない“人と繋がる”アートであることを、4組のアーティストが語りかけるドキュメンタリー映画です。

 


(C)Compass Films Production 2016

 

“手芸”から“アート”への途中

 

編み物は一人で黙々とセーターやマフラーを編んでいく“手芸”という固定観念を打ち破り、ゲリラ的に絵の具の代わりにカラフルな編み物で街を彩る“ヤーン・グラフティ”や、コミュニケーションを取りながら皆で大きな作品制作に挑むなど、自分の手を動かして外の世界や人をつなげていくものへと変化しています。


アーティストたちの手仕事やパフォーマンスは見る者を楽しませてくれるだけでなく、アートへと昇華させようと奮闘する姿そのものが、世界を美しくカラフルな彩りを生み出しているように感じました。


そして、編み物には欠かせない色とりどりの糸は、色だけではなく、太さや形状、質感も様々。それは、多様である人との関わり合い方に似ていると思います。

 


(C)Compass Films Production 2016

 

映画に登場した作品が体験できる

 

温泉でお馴染みの神奈川県・箱根にあり、国内初の野外美術館である「彫刻の森美術館」。
広大な野外展示場では季節や天候に合わせて様々な表情を見せる、ロダン、ムーア、ミロなど近現代を代表する国内外の巨匠の作品120点余りを散策気分で鑑賞できます。

その他にも約320点の多彩なコレクションを順次公開しているピカソ館をはじめ、子どもが造形を体験できるプレイスカルプチャー(遊べる彫刻)や、敷地内から湧き出る温泉を利用した足湯もあり、1日中ゆっくり過ごすことができます。

 

そんな「彫刻の森美術館」で人気を博している「ネットの森」は、本作品にも出演している造形作家・堀内紀子さんと建築家・手塚貴晴+手塚由比さんによるコラボレーションから生まれた作品です。

色鮮やかなネット作品と木組みの造形美は見逃せません。是非、実際に足を運んで色彩感覚と造形感覚を体全体で感じてみてください。

 


ネットの森 / 彫刻の森美術館

 

YARN(糸)がもたらすライフスタイル

 

アイスランドのティナが「(編み物の)1日1日は完成した作品全体から見るととても小さいけれど、それを積み重ねて作品が完成する。人生が1日1日の積み重ねと同じように。」と語っているシーンが印象に残っています。葛藤や苦悩を通ることで人生は完成していくのだと思いました。

 

本作品は糸に纏わるただのドキュメンタリーにとどまりません。時に糸を通じた“旅”に出かけるような心躍る体験をさせてくれたり、時に“動く作品展”を鑑賞している楽しさがあります。しかし、その根底には日々の暮らしにおいて人生を紡いでいる私たちに、“生き方”について問いかけてくれる素晴らしい作品です。

 

(C)Compass Films Production 2016

 

【情報】

『YARN 人生を彩る糸』

2017年12月2日より、渋谷シアター・イメージフォーラムにてロードショー
監督:ウナ・ローレンツェン
出演:オレク、サーカス・シルクール、ティナ、堀内紀子

HP:http://yarn-movie.com

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