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“当たり前”になっている価値観を問う『レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル』【新麻記子のMiLuLu -vol.2-】

30オーバー女子納得の個展をご紹介。【新麻記子のMiLuLu】では巷で話題の映画作品や美術展をご紹介! 現在、六本木・森美術館にて開催中の『レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル』。エルリッヒの四半世紀にわたる作家活動を追いながら、世界でも過去最大規模となる個展となる本展覧会をご紹介します。

過去最大規模の個展が開幕!

レアンドロ・エルリッヒは国際的に活躍するアルゼンチン出身の現代美術作家。
日本では、石川県の金沢21世紀美術館に恒久設置されている「スイミング・プール」をはじめ、越後妻有アートトリエンナーレ2006で展示した「建物」シリーズなど、その作品は老若男女問わず親しまれています。

本展覧会では、エルリッヒが1995年〜2017年に手掛けた作品を網羅的に紹介することで、四半世紀に及ぶ作家活動の全容を紹介する、世界でも過去に類を見ない最大規模の個展となっています。
そして、44点もの出展作品のうち、8割もの作品が日本初公開!このチャンスを見逃さないで!

 


 

“難しい”を覆す作品

「現代アートって難しそう…ちょっと苦手だな…」と感じている人にこそ会場を訪れてみてほしい。

不思議と驚きに満ち溢れ、好奇心を刺激する作品は、鑑賞する私たちが体験することで初めて完成されます。また、日常に溢れているモチーフを使用しているため、現代アートに馴染みがなくても、大人から子供まで気軽に楽しむことができます。

例えば、手漕ぎ式のボートが作品の主役である日本初公開の「反射する港」。
ウッドデッキで作られた廊下と水面に漂うボートの様子から、誰しもが展示室内に船着場が現れたと思い込んでしまうことでしょう。しかし、実際にそこには水はなく、水面に映る反射イメージは、上部のボートと同じ素材でできた立体物。

このような視覚トリックの不思議に触れてみてはいかがでしょうか?

 


楽しい体験から生まれる魅力

本展覧会では、エルリッヒ作品の中でも人気を博している、大規模な体験型作品「建物」シリーズが登場します。
この作品は、私たちが床に置かれた建物のファサード(壁面)に寝転がってポーズをとると、鏡の効果により重力に逆らったようなアクロバティックな体勢で、壁や窓枠にしがみついているような光景が生まれます。
作品の一部になった自分自身の不思議な姿を、写真を撮って楽しむこともできます!

また、会期中には展覧会関連のプログラムである、ギャラリートークやトークセッション、ワークショップやパフォーマンスを実施。様々な体験を通じてエルリッヒ作品の魅力に迫ってみましょう。

 


 

作品に込められた社会的メッセージ

老若男女問わず親しまれているエルリッヒの作品だが、その背景には社会的メッセージが込められています。

例えば本展覧会のために制作された「教室」は、日本が抱える少子化や過疎化を背景にしています。
廃校となった学校の教室が舞台となっている本作品は、ガラスで区切られている2つの部屋の一方に入ると、ガラスに自身の姿がうっすりと映り込み、まるで亡霊となった自分の姿が、もう一方の廃墟と化した教室に存在しているように見えます。

これからの日本の未来像を描いているかのよう…少しゾッとしてしまいますね。
他作品にも隠されたメッセージがあるので、会場を巡りながらじっくり考えてみましょう。

 


 

“気づき” を与えてくれる作品群

エルリッヒ作品は “驚き” という体験を与えてくれます。
その “驚き” は私たちの錯覚を利用していますが、その仕掛けは常に開示された状態になっています。

会場で鑑賞していると…如何に私たちが日常において無意識のうちに惰性や習慣で行動してることや、如何に社会常識や固定概念に囚われ凝り固まった見方をしていることに気付かされます。
それと同時に、習慣や概念は恐ろしいほどの耐久性を持っていることに加え、私たちが自分自身では気づかないぐらいに、現実認識をコントロールしている事実について、とても深く考えるキッカケを与えてくれました。
何事も“分かってるつもり”、“知ってたつもり”、“当たり前”が一番怖いですね。

今や地球を覆い尽くしたグローバル資本主義に生きる私たちは、仮想空間における虚実入り混じる情報が集積する時代だからこそ、自分について、自分なりの考え方、自分なりのイメージの捉え方が重要になってくるのではないかと思います。

そして、見る行為への曖昧さを自覚した上で、曇りのない目で物事を見れるようになれば、新しい世界がたちあらわれるかもしれません。

 


 

【情報】

レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル
会期:2017年11月18日(土)~2018年4月1日(日)
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
開館時間:10:00〜22:00/火 10:00〜17:00
     *いずれも入館は開館時間の30分前まで
     *会期中無休

http://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/LeandroErlich2017/index.html

 

 

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